ウクライナの首都「キイフ(Kyiv)」という正しい表記が、なぜ重要なのか
今国会でもウクライナの首都を「キイフ(Kyiv)」(または「キーウ」)にすべ きという議論がされ、「そんなくだらないことよりもウクライナの支援を!」と いう声も上がっています。
ウクライナにとって、この地名の変更は「くだらないこと」ではなく、とても大 事なことです。
「キエフ(Kiev)」という誤った表記は、長年のロシアによる侵略、ウクライナ の文化・言語の破壊、失われた過去と自由を象徴するものです。独立してからウ クライナはそれらを取り戻すために努力してきましたが、地名を正しい表記に変 えることもその1つです。特に2014年以降海外では、#KyivNotKiev というハッ シュタグを使うキャンペーンなど、様々なメディアで正しい表記を求める活動も してきました。
多くのウクライナ人にとって、「キイフ」という表記は、ウクライナの文化と言 語、そしてアイデンティティに対する敬意の表れです。
ロシアはウクライナの首都をまともに発音できないにも関わらず、ウクライナと の「歴史的一体性」を主張して、言語の同一性もそこに含めています。
ウクライナとロシア語は全く異なる言語です。
残念ながら、日本でもウクライナ語とロシア語は大阪弁と標準語と同じ位の違い であると誤って認識されがちです。
実際に両言語を比較して、どれくらい似ているかの分析を見るとウクライナ語と ロシア語の語彙は「約62%共有している」と言われていますが、これは、英語と オランダ語を比較した時の結果と同じです。
そして、同じ言葉でも真逆の意味を持つことも多いことから、両言語を話せない 人からは「似ている」と誤って認識されてしまっています。(例えば「ウクライ ナ」の意味。ウクライナ語では「土地」を意味しますが、ロシア語では「端っこ」 を意味します。そのため、ロシアによってウクライナという国名は「ロシアの辺 境・国境地方を意味する」というプロパガンダも広めています。)
そして、ソ連ではロシア語を話すことが必須とされていたため、ほとんどのウク ライナ人がウクライナとロシア語のバイリンガルですが、ロシア語しか話せない 人にウクライナ語で話しかけてもほとんどのケースでは理解されません。
言語はその国のアイデンディディです。
その「アイデンティティを持つ権利」を国際社会に認められて、尊重してもらう ことは、誰もが望むことではないでしょうか?
そして首都キイフだけでなく、多くの街の名前が未だにロシア語で表記されてい るので、今後日本でも正しい表記が浸透してくれることを期待しています。
-
(正)ハルキフ (誤)ハリコフ
-
(正)リヴィウ (誤)リボフ
-
(正)チョルノーブィリ (誤)チェルノブイリ
-
(正)オデサ (誤)オデッサ
-
(正)ムィコラーイフ (誤)ニコラエフ
Sofiya Kataoka @ Facebook