ウクライナ刺繍 – ヴィシヴァンカ

ウクライナ刺繍は織物、絨毯織、陶芸、木彫り、イースターエッグ「ピィサンカ」作り、その他の民俗芸術とともに、ウクライナ文化の不可欠な芸術です。

「ヴィシヴァンカ」(Вишиванка)という言葉(名詞)はウクライナの民族衣装で特徴的なウクライナ刺繍を施したシャツやブラウスを指します。語源は動詞「ヴィシヴァティ」(вишива́ти – 刺繍する、шити – 縫う)に由来しています。ウクライナ刺繍はウクライナに古くから伝わる象徴的な伝統です。

すべてのウクライナの民俗芸術は、基本的に旧石器時代後期に形成され、今日までほぼ元の形で生き残っている単一の記号システムに基づいています。同時に、19世紀半ばから150年の間に、民俗刺繍は、産業、通信、その他の社会的要因の集中的な発展により、大きな変化がありました。これが農民環境で生まれた民族芸術に、大衆の思考の特徴ではない異質な要素やイメージが積極的に浸透した理由であった。

19世紀後半から20世紀初頭にかけて、人気ある雑誌などに多数の花模様の刺繡図が掲載されたためナチュラリズム流が設立されました。ナプキン、テーブルクロス、ソファのクッション、カーテンなど、日用品の刺繍には、さまざまなバラの花束や花輪が広く出版されました。農民の視点から見た、都市の文化がより高度な文化の例として役立つようになり、あっという間に、疑似芸術的な(パターンが田舎のアートスペースを埋め尽くし、古代の装飾の伝統に取って代わられました。これは、刺繍、絨毯織り、イースターエッグ「ピサンカ」で特に一般的でした。この変化は刺繡の歴史の一部であるため、現代の刺繍におけるナチュラリズム流のこれらの例がありますが、これはそれほど前に現れたそのほんの一部にすぎないことを理解することが非常に重要です。

ウクライナ人にとって最も貴重なものは、昔から伝われてきた伝統です。今日もその昔ながらの伝統の一部を紹介したいと思っております。

ロシア帝国は意図的にウクライナの遺伝子系樹の根を断ち切ろうとし、私たちを過去、先祖の精神的理想や見解、国家として私たちを特徴づけ、団結させるすべてのものと結びつける精神的業績を記憶から叩き出そうとしました。ウクライナ国家の遺産を粘り強く、執拗に研究し、保存したウクライナ人のおかげで、私たちは今日、ウクライナ国家の遺産や文化、その存在を誇りに思うことができます。

装飾的なモチーフは、原則として、周囲の世界を反映していました。装飾の名前もそれを示しています。例えば、「ウサギの耳」、「クモ」などです。人々は自分の夢と希望を刺繍にコード化していました。各ステッチはランダムではなく、象徴的で魔法のような機能を持ち色んな意味を含まれました。ウクライナ刺繍の装飾は古代文化「ククテ二・トリピッリャ文化」と一致しています。何世代にもわたって、熟練した手による記号はパターンに変換され、改良され、新しい要素で補完されてきました。

装飾の種類はジオメトリックと植物類があります。ジオメトリックと植物類以外にも鳥類、動物類、そして人間類の装飾パターンがあります。ジオメトリックの装飾は抽象的な形を含まれており、各形は独自の意味を持っています。 まっすぐな水平線は土、ギザギザ線は水と永遠、縦の波線は雨、三角は山です。十字は最も古い神聖なしるしの一つであり、太陽と火、そして永遠の命のしるし、悪からのお守りです。十字の2つの線は、人間の世界と神様の世界を一致させられた象徴で、4つの方角の中心になっています。数字の4は紙から鉛筆を離さずに書かれた十字です。丸は太陽です。四角は豊穣の象徴です。4等分された四角の各部分の真ん中に点があるのは種を蒔いた畑の象徴です。ひし形は、女性の象徴です。蛇行は良くウクライナの刺繍に使われており最も古い象徴です。古代文化「ククテ二・トリピッリャ文化」の陶芸にも良く見られます。蛇行は水や永遠、そして昼と夜の順と季節の象徴です。

ウクライナ西部、特にブコヴィナとフツルシチナでは、ジオメトリックの装飾が昔ながらのほとんど変わらない形で残っています。何故なら、それらの地理的位置により、他の国や地域の影響が少なかったからです。植物の刺繡は自然の美しさを布に移したものです。地球からの最も貴重な恵は樹と植物と花です。植物の模様はジオメトリックで様式化された形で広く普及しています。様式化された植物の模様は、主に革や布で作られた上着を飾るために使用されていました。

カリーナ(ガマズミ)もウクライナの代表的な植物で刺繡にもよくあります。家族の不滅と美しさの象徴です。どんぐりの木は太陽の神様ペルンのシンボルで、 命の象徴です。どんぐりの木とカリーナの組み合わせは男性の力と女性の美しさのコンビネーションです。ウクライナの西部にあるブコヴィナ地方の刺繍には、ツルニチニチソウという花が良く見られます。作品には永遠や美しさの意味を込めたいならツルニチニチソウの模様が必要だそうです。それ以外にも、刺繡の模様としてはポピー、バラ、マリーゴールド、ホップ、ブドウ、かぼちゃ葉なども使われています。

最も古い模様パターンとしては、ポットに入っている木「命の木」が知られています。大昔の「世界の木」の崇拝の伝統して残って、世界の調和や物事の連携を表しています。「命の木」は世界の過去、現在と未来を反映します。一番下の根子の部分は世界の始まりと地下の世界です。真ん中の部分(木の幹、枝と葉っぱ)は人の世界です。一番上の部分(枝、葉っぱ、花)は神様の世界です。全部の部分には鳥も加えることがあり、木の一番上の部分には神様の世界にしかない鳥をつけるのは多いです。「命の木」は長いタオルのような布、ウクライナ語だと「ルシ二ク」、に刺繍することが多いです。タオルと言う名前になっていますが、長時間かけて複雑な刺繍をする「ルシ二ク」はウクライナ人にとって重要な儀式に使われているものです。

ウクライナ刺繍は様々な仕法があります。100以上の仕法があると言われています。名前もそれぞれで、やり方や地方の名前や刺繍したものの使い道によって様々です。ウクライナ刺繡の特徴は一つの物が複数の仕法を使って刺繡します。例えば10‐15仕法も使て一つの刺繡シャツ「ヴィシヴァンカ」を作ります。19世紀にクリスステッチが広がり、19世紀後半以降の刺繍を見ると多くのシャツなどはクロスステッチだけで出来上がっています。幸いに、刺繡の伝統が減滅せず、多くの仕法は今でも習うことが出来ます。

ウクライナ刺繍は地域ごと、さらに村ごとにモチーフやパターンに多くのバリエーションがあります。
ウクライナ刺繍では赤と黒が最も一般的な色である一方、地域によって青や他も使われます。
またウクライナ刺繍はその刺繍技法の多様性で有名です。「ウクライナ刺繡地図」プロジェクトは26名のウクライナ人と日本人が参加して、ウクライナは平和になって、日本との友好関係もいつまでも続くように願各州を別々で刺繍しました。その後は全部の州を集めて一つの地図になるように縫い合わせました。