プロジェクト概要
日本とウクライナの協力により、ザポリージャ市の大学地下に、安全な“地下学校”を建設するプロジェクトを発足しました。 この学校は、占領地域から逃れてきたものの、さらに安全な地域への避難ができない子どもたちが、安心して学び、成長する場となります。
ウクライナの前線に近い地域では、すべての家庭が安全な地域に避難できるわけではありません。収入源を失う恐れや、親の職場・介護家族・住居の問題、移動手段の欠如、精神的負担など、さまざまな事情から多くの家庭がその地にとどまらざるを得ない状況にあります。
「いつ警報が鳴るかわからない」——そんな不安が子どもたちの心をむしばむ。
このプロジェクトは、ザポリージャ工科大学の地下空間に安全で継続的な学びの場を整備する取り組みです。
なぜ「地下」なのか
ザポリージャ地域の70%以上が占領された後、ドニプロルドネ市を含む多くのコミュニティはザポリージャ市に避難しました。前線に近い地域では、空襲警報が日常です。地上の学校では、授業中に突然警報が鳴り響き、子どもたちは地下へ避難します。そのたびに授業は中断され、集中力は途切れ、学びは寸断されます。「いつ警報が鳴るかわからない」——そんな不安が子どもたちの心を蝕み、先生も思うように授業を進められません。学力の低下だけでなく、精神的なストレスや意欲の喪失にもつながっています。
こうした現実の中で、「中断されない学びの時間」を取り戻すことは、単なる教育の問題ではありません。子供たちにとっての「日常」を取り戻すことです。

ドニプロルドネ市からザポリージャに避難してきた小中高生の多くは、コロナ禍、その後のロシアによる全面侵攻でこれまで4年以上画面越しにしか学ぶ機会がなく、社会的な孤立や精神的ストレスに直面しています。 この地下学校は、子どもたちに「安全でリアルな学びの場」を提供し、学校というコミュニティに戻る機会を与えます。学びの場があることで、保護者は子どもを安心して預けることができ、就労や生活の再建に集中できます。また、教職員にとっても、この学校は単なる勤務先ではなく、オフラインの授業を行える環境で備えられた教室と機材は、教員の方々が専門性を発揮する舞台となり、仕事のやりがいと持続性を支えることになります。
教える先生も、預ける保護者も、そして何より子ども自身が「ここなら大丈夫」と思える環境を、整えることが可能になります。

現在提供されている地下施設は、長らく使用されておらず老朽化が進んでいます。照明・換気・衛生設備が不十分で、現状では学習環境として安全性と快適性に大きな課題があります。子どもたちが安心して過ごせる空間にするには、大規模な改修と設備の整備が必要です。




実現に向けて
このプロジェクトでは、ザポリージャ工科大学より未使用の地下施設を提供していただき、その空間を活用して学生のための教室を整備します。プロジェクトは、以下の3つの主要な段階で構成されています。
第一段階「改修工事」
提供された地下空間は現在使用されていないため、まずは安全性と快適性を確保するための大規模な修繕が必要です。対象には、廊下、トイレ、教室2部屋が含まれ、壁・床・照明・水道設備などを一新します。改修工事は、以下の6段階の作業とそれに付随する費用によって構成されています。
対象作業 | 内容 | 費用 |
トイレの修繕(最重要) | 生徒と教職員が安心して過ごすための必須インフラ | 814,879 UAH(約3,096,539円) |
廊下(前半)の修繕 | 安全な通行と避難経路の確保のための整備 | 275,018 UAH(約1,045,068円) |
換気システムの整備 | 地下での継続的な使用に必要な空気循環設備 | 151,864 UAH(約577,081円) |
教室1の修繕 | 授業スペースの再生と快適な学習環境の確保 | 33,327 UAH(約126,641円) |
教室2の修繕 | 追加教室による収容力強化 | 38,691 UAH(約147,027円) |
廊下(後半)の修繕 | 施設内の動線を完成させるための整備 | 275 019 UAH(約1,045,073円) |
合計費用:
1,588,797 UAH (約6,037,429円)
第二段階「設備導入」
授業を円滑に行うために、机や椅子などの学習用家具、ホワイトボード、インターネット設備、パソコンやプロジェクターなどの教育機器を導入します。
第三段階「教育運営体制の確立」
2025年を通じて、学校「タラント」が移転後の教室で混合形式(対面+オンライン)の教育を継続的に提供できるよう、教員の配置とカリキュラムの調整を行います。
日本の皆さまへ

「この地下学校プロジェクトは、単なる建設事業ではありません。それは、戦争のただ中にある子どもたちへ贈る『安心』と『希望』であり、教育を諦めさせないというウクライナの未来への投資でもあります。そして、遠く離れた日本からでも、できる支援のかたちです。
一口の寄付でも、一回のシェアでも、未来をつくる力になります。ご支援・ご協力のほどよろしくお願いいたします。」
ヤロスラヴァ・ブラトゥス
ウクライナザポリージャ州でのプロジェクト責任者
ご支援の方法
- クレジットカード:上記リンクよりお手続きいただけます。
- 銀行振込:以下の口座情報をご利用ください。
- 三菱UFJ銀行 品川駅前支店
- 普通 0516596
- 口座名義:トクテイヒエイリカツドウホウジン ニホンウクライナユウコウキヨウカイクラヤヌイ
- ※振込の際は、コメント欄に「地下」とご記入ください。